ネコの交通事故ではたまに遭遇する。
長男の親族が保護した子猫の呼吸が変だという連絡をもらった。もしやと思ったが、心配するといけないので、近医を受診するよう進言した。受診時には、大丈夫だろうからしばらく様子を見ようという獣医師の意見だった。でも、やっぱり気になるのでレントゲンを撮ってもらったら、横隔膜ヘルニアだと判明した。呼吸が苦しそうであっても、当面は大丈夫だから、去勢手術の時に一緒に手術をすればいいのではとの診断だったという。早速、長男から電話をもらった。治るものなら、手術をしてほしいと。
横隔膜ヘルニアと聞いて、交通事故かも?と思った。ならば、骨盤骨折もありか?
何日かして当院でレントゲン撮影。やっぱり骨盤も折れてる。そのせいで、便秘してる。
事故で足をぶつけて、大腿骨の頭が骨盤にぶつかり骨盤骨折、その衝撃で腹腔内の臓器が胸のほうへ押されて横隔膜を突き破って胸腔に入り込んで、肺が膨らまずに呼吸が苦しい。
おそらく、その事故から何日も経っているのだろう。呼吸困難でもネコは自然に腹式呼吸を学習してしまう。見るからに苦しそうな息をしているのだが、なんとか生きていけないことはない。
ネコの横隔膜ヘルニアの手術は危険を伴う。手術中や術後に死亡することもある。
手術は成功したが、サスペンスだった。
横隔膜が破れているので、腹膜を切った途端に自発呼吸が停止する。そこからは人工呼吸が始まるのだが、腹式呼吸を学習しているネコは浅い自発呼吸が持続することがある。人工呼吸の吸気と自発呼吸の排気がぶつかり合って酸素が入りずらくなる、同時に吸入麻酔薬も入らない。突然、麻酔から醒めてしまう。そうなれば万事休すだ。それを回避するために、静脈から麻酔薬を持続点滴するのだが用量を誤れば危ない。
しかも、子猫の横隔膜は小さくて深い。呼吸量・麻酔量・時間との戦いだった。
そんなにしょっちゅうある手術ではないので、手術前の何日間は以前の手術の復習と今回の手術のシミュレーションで頭が一杯になる。しばらくは鬱状態が続く。
子猫は順調に回復した。それまで呼吸困難で大きかった瞳孔がネコらしいスリットになった。呼吸も安定した。出にくかったウンチも自力でできるようになって退院していった。
最近はネコを室内で飼うことが多くなったせいか、この手術は数えるほどしかない。
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ななけん (日曜日, 30 6月 2013 15:31)
この子猫ちゃんは先生に治療してもらえてとってもラッキーだな。と思いました。
私は、昨年捨て猫を飼いはじめて約二カ月後に横隔膜ヘルニアで亡くしました。私が無知でよくない動物病院に連れて行った。という後悔がとても大きいです。
朝、呼吸困難になっている子猫をあわてて病院に連れて行きました。先生は検査をせずに肺炎だと決めつけ、入院し肺炎の治療を続けました。1週間経って瀕死状態になり、初めて検査し横隔膜ヘルニアだと判明した途端「ここでは治せないから。」と言われ連れて帰りました。でもチアノーゼでとても苦しそうな子猫を見るのが辛くて他の病院に電話したところ「すぐ連れてきてください。」との事で連れて行きました。わずか450グラムしかないし(入院したときは500グラム以上)、瀕死状態だったので助かる可能性は低いけど手術をすれば、可能性がわずかでもある、という事だったのでお願いし、翌日夜に手術してもらえる予定でした。でも間に合わず亡くなってしまいました。
その先生は500グラムの別の子の手術を成功させ、元気にしている。というのを聞き、はじめからそこの病院に連れて行ったら今頃は。と今でも思い出し涙が出ます。
alladin1 (火曜日, 16 7月 2013 17:04)
ななけんさんコメントありがとうございます。
悲しい思い出ですね・・・。
動物病院選びは実際にその病院に通っている飼主さんに評判を聞くのが一番のように思います。
ふぁみる (木曜日, 22 8月 2013 18:58)
正次先生、レベッカ先生、その節はお世話になりました。
この記事にあります、手術をしていただいた猫の飼い主です。
うちのニイの事を記事にして下さった事を、たった今知りました(失礼しました)。ニイは、先生方に手術して頂いたおかげで、今は困ってしまう位元気です!保護した直後の状態からは想像できない位、毛並もよくなり、表情もすっかり穏やかになりました。あの時は、先生方にならば!と、安心して(半ば気軽に)お願いしてしまいましたが・・・それがお二人に、心身ともにご負担をかけたのだと思うと、心苦しい想いでいっぱいです。同時に、改めて感謝の気持ちがあふれました。本当に本当にありがとうございます。
夫と、いつも「あのお二人が虹の橋を渡るときは、たくさんの動物達に胴上げされるね」と話しております。モモちゃんも、ピーポイちゃんも、他のにゃんちゃん、わんちゃんも、今頃橋のふもとで、お二人の話で盛り上がっているのではないでしょうか?数年前に逝ってしまった私のにゃんたも、その輪に加えてもらえてるといいのですが・・・
お二人はたくさんのわんにゃんの、命の恩人です。
一人でも多くの飼い主さん、一匹でも多くの動物が、お二人のような、良い獣医さんにめぐりあえますように。
alladin1 (木曜日, 22 8月 2013 19:56)
ふぁみるさん、コメントありがとうございます。
飄々と「手術は無事に終わりました」なんて、テレビドラマみたいにいけばいいんですがね・・・。にぃちゃん元気になってよかった。
Hsiu Mckinney (金曜日, 03 2月 2017 19:16)
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ちーちゃん (土曜日, 09 5月 2020 15:36)
うちのちーちゃんは横隔膜ヘルニアです。ちょっとした不注意で妊娠させてしまいました。病院に連れていったら子宮の摘出は麻酔をしたらそのまはま目が覚めなくなるかもと まだ出産させた方がいいかもしれないと
でもお腹が大きくなれば余計に胸が圧迫されて耐えられるのかと思うとどうしていいかわかりません。どなたか教えてください!